ゴールデンレトリバーのカブくんに初めて会ったのは今年の春先でした。
余命３週間と宣告を受けて、少しでも体の痛みや苦痛を和らげることができたらと言う飼い主さんの思いを伺い、時々マッサージを兼ねて会いに出掛けました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

出会った当初は体にかなりの痛みがあるとは思えないほど元気で、食欲旺盛で息子のレオンくんと張り合っておやつを食べて、マッサージをせがんで、仲良しのわんこ達と毎日楽しく過ごしていたようです。
５月の終わりの頃、カブくんは後ろ足が立たなくなってしまいました。
それでもカブくんの食欲は衰えることなく、ご飯のときはしっかり起き上がり、相変わらずマッサージの手を止めると前足でしきりに催促もしていました。
２週間ほど前、私達が会いに行ってカブくんの部屋を覗いた時、カブくんは両手にあごを乗せてTVを見ていました。その姿がなんともカブくんらしく思わず吹き出してしまいました。その時もいつものように前足で催促、おやつを見つめる目はキラキラ笑っていました。『また来るから、暑いけど頑張ってね！』そう言って部屋を出て・・・カブくんと会うのはそれが最後となってしまいました。

　　　　　　　

カブくんは、いつものようにお腹いっぱいご飯を食べた後、眠るように静かに息をひきとったそうです。
毎日忙しい中、仕事を在宅勤務にしてもらい付きっきりで看護して、カブくんのためにガンガンにクーラーをかけたまま真夏に布団に包まって寝ていた飼い主さん。お父さんが突然いなくなってしまったことに戸惑いを感じている様子のレオンくん。お母さんの留守に、代理ママになってカブくんのお世話をしていたルーナちゃんのママ。大好きなみんなに見守られながら眠りについたカブくんは、幸せだったと思います。

最後まで食べることを止めず、いつも目をキラキラさせて、生きることに前向きだったカブくん。
この前向きさでカブくんはこんなにも頑張れた！前向きな気持ちの大切さをカブくんに教えてもらいました。ありがとう、カブくん。頑張ったね。ゆっくり休んでね。
　　　

皆様の、たくさんのわんこ達が健やかでしあわせでいられますようにお祈り申し上げます。